【壊憲・改憲ウォッチ(48)】WPS行動計画からアメリカ兵性犯罪対策を削除した自民党・公明党政権
自衛隊の準機関紙である『朝雲』の2024年11月21日付の1面は、「防衛省『WPS』横断的に取り組む」となっています。
※WPS…「女性・平和・安全保障(Women, Peace and Security)」
『朝雲』には「紛争や災害発生時に、女性や女児などは特に弱い立場に置かれやすい。だからこそ保護・救済すべきであることは言うまでもない」とも記されています。
上川陽子前外務大臣も、「WPSは主要外交政策の一つ」とアピールしてきました。
ところが歴代自民党・公明党政権は日本で相次ぐアメリカ兵性犯罪に対応してきませんでした。
『琉球新報』2024年12月22日付1面には、「15年安倍政権時 米軍性犯罪暴力対策を削除 政府WPS行動計画」との記事があります。
2015年9月、安倍晋三首相は国連総会でWPS行動計画を発表しました。
安倍首相が国連総会で発表したWPS行動計画には、アメリカ兵性犯罪に関する項目がありませんでした。
WPS行動計画は2000年の「女性・平和・安全保障に関する安保理決議」を履行するための計画であり、2013年に外務省が策定を開始しました。
2014年2月には沖縄で意見交換会があり、女性団体の要望を受け、計画案には以下の2項目が盛り込まれていました。
・「国内における外国軍隊によるジェンダーに基づく暴力の予防と適切な処罰」
・「被害者への個々の実情に応じた途切れのない支援と補償のアクセス」
これらの項目は外務省のWPS行動計画の「最終稿」にもありました。
ところが2015年9月に安倍首相が国連総会で発表した際にはこれらの項目が削除され、国連総会で発表されませんでした。
以上が『琉球新報』2024年12月22日付1面の抜粋です。
安倍自公政権が意図的にアメリカ兵性犯罪に関する項目を削除したと考えるのが自然です。
安倍首相などが意図的に削除したわけではないとの反論もあるかもしれません。
ただ、国連で発表するWPS行動計画にアメリカ兵性犯罪への対応を発表しないことじたい、日本でのアメリカ兵性犯罪の重大性を認識せず、日本の女性を守る気がないことを証明しています。
今までの歴代自民党・公明党政権はアメリカ兵犯罪が起きた際にも日本の市民を守る対応をせず、アメリカに忖度する姿勢にあふれた対応をしてきました。
2024年6月、沖縄や福岡、長崎、山口、広島、神奈川、東京、青森でのアメリカ兵性犯罪を岸田自公政権などが隠していたことが明らかになりました。
たとえば2023年12月、2024年5月のアメリカ兵性犯罪については6月に予定されていた沖縄県議会選挙への悪影響を回避するために岸田自公政権が隠ぺいしたと批判されてきました。
こうした批判に対して岸田首相や上川外務大臣からは説得的な説明がありませんでした。
『琉球新報』2025年2月4日付によれば、岸田自公政権は2023年12月の未成年女性に対するアメリカ兵性犯罪に抗議すらしていません。
日本の人々を守るのが政府の役割なのに、自民党・公明党政権はそうした役割を放棄し続けてきました。
このような政権で良いのか、私たちは選挙等で主権者の意志を示す必要があります。
そして日本の市民を守るためには日米地位協定の改正が必須です。
アメリカ兵などにさまざまな特権を認める規定、アメリカ兵犯罪に関して被害者への十分な補償がない日米地位協定の規定は直ちに改定すべきです。
なにより日本が主権国家であり、「日本を取り戻す」というのであれば、日本の法令を遵守させるため、日米地位協定16条も改正すべきです。
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