【壊憲・改憲ウォッチ(42)】憲法審査会開催より裏金問題解決を求めるネット世論
飯島滋明(名古屋学院大学、憲法学・平和学)
【1】 憲法審査会の閉会中審査に関する産経新聞の記事
『産経新聞』2024年6月28日付〔電子版〕は、「立憲欠席で『閉会中審査』暗雲…衆院憲法審 維新は自民に決断迫る」との記事を掲載しました。
「暗雲」との言葉のように、衆議院憲法審査会の「幹事懇談会」が立憲民主党の欠席により開催されなかったことを批判する記事でした。
【2】憲法審査会開催を強行したことへのネットでのコメント
ただ、ネットには以下のようなコメントにあふれていました。
・いや閉会中審査でやることじゃないだろ。姑息すぎる。
・あんな政治資金規正法を作り上げた自民党と維新が憲法改正に着手って、悪い冗談ですか?
・裏金問題も解決できない連中が、何が憲法改正だ。ふざけるな。お前らに改憲を論議する資格などないわ。
おこがましい。ほかにやることがあるだろ。
・立憲の味方をしたいわけではないがそんなにやりたいなら国会会期の延長してやればよかったのでは?
まあ憲法も含めてだけど玉虫色で逃げた改正政治資金規正法の詳細も含めて危なく危険だ。
・政治資金規正法で自公維は正常でなく異常な党と確信。異常な政党に憲法改正は危なく危険だ。
・法律を守らない犯罪者達が憲法に触るな、と言いたい。次の選挙で危ないから、今のうちに緊急事態条項で自分たちの地位保全をしようと執着しているだけ。
・憲法なんて国民の関心外。ぶざまな醜態を見せた維新が恥を隠すための動き。
・憲法改正の議論はしたらええと思うが、裏金脱税で蓄財して議席を買った93人の自民党議員に参加する資格は無いわな
1回解散総選挙してからや
・そもそも襟を叩出せない自民に憲法改正とかする資格がない
裏金にまみれた手で改正とかありえない
こんな記事を書く新聞社がいうだけ番長じゃないのかな。
・自民党は改憲する気なんてないから、立憲のせいと印象操作できるくらいなら御の字くらいにかんがえているんだろう。
維新の本気度は知らんけど、政治資金規正法改正案の内容と顛末を考えると能力不足。大事な話に首を突っ込んでほしくない。
・維新のような法律の立案にもいい加減な政党が、凝りもせず、憲法改正の強行にアクセル踏むのは怖すぎて眠れない。黙っていてほしい。……立憲ディスりや反共産の選挙目当ての憲法論議の政治利用な感じがして不愉快!
・「議論を拒み続け」ているのは自公だよね。
国会でまともに答えない、はぐらかす、隠す。
質問の時間いっぱいまで同じことを言って時間稼ぎをする。
小泉政権以降こんな輩ばかり。
国家百年の計を語れない議員は即刻辞めるべし。
・最高法規、第九十七条「基本的人権」を削除する自民党草案なんて国民は望んでいません。
まず裏金問題の処分をはっきりしてから、お仕事なさいな。
【3】問題ある『産経新聞』等の記事
2024年6月27日、衆議院憲法審査会の森英介会長(自民党)は憲法審査会の幹事懇談会を28日に開催することを「職権」で決めました(『産経新聞』2024年6月27日付〔電子版〕)。
その後、幹事懇談会に立憲民主党が出席しなかったことを『産経新聞』2024年6月28日付〔電子版〕は批判しています。
しかし野党筆頭幹事の逢坂誠二議員はブログで、「そもそも28日は以前から決まった予定があり指定の時間には東京にいないことを中谷筆頭に伝え」ていたと述べています。
28日は予定があると事前に伝えていたのに、自民党は「職権」という強硬手段で28日の憲法審査会の幹事懇談会を決めたのです。
先約があるために出席できないことを予め伝えていながらその日に幹事懇談会開催を「職権」で決定し、参加できない立憲民主党を批判する。
こうした産経新聞の報道、常識的な主張でしょうか?
先約があると伝えていたその日に職権で会議を開催することこそ非常識ではないでしょうか?
自民党議員も「いきなり職権では閉会中審査の開催はより困難になる」とため息を漏らしたと報じられています(『朝日新聞』2024年6月28日付〔電子版〕)。
報道すべき事実すら踏まえない、非常識な主張をする記事の影響を受けないようにすることも大切です。
【4】「改憲」よりも「能登半島地震の復興支援」「日米地位協定の改定」「裏金問題」の解決を
6月25日、岸田首相は自民党の役員会で「憲法問題は先送りできない課題の最たるもの」と発言しました。
ただ、ネットでも批判されているように、そもそも「法を守らない人間たち」に国会議員の資格があるか、法を守らずに「裏金」を蓄えていた自民党国会議員に憲法改正を論議する資格があるのでしょうか?
多くの市民の幸せと家庭を崩壊させてきた「統一協会」と密接な関係を保ち、選挙や憲法改正問題でも統一協会の支援を受けてきた自民党に憲法改正の議論をさせて良いのでしょうか?
「閉会中審査」をするのであれば「憲法改正論議」でなく、たとえば「能登半島地震の復興支援」「日米地位協定の改定」「裏金問題」ではないでしょうか?
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