【壊憲・改憲ウォッチ(41)】能登半島地震と「議員任期延長改憲論」
飯島滋明(名古屋学院大学、憲法学・平和学)
5月3日に金沢で講演があった関係で、4日、5日とレンタカーを借りて輪島と珠洲に2日連続で行きました。
「3.11」の時のようにボランティアをしようと考え、事前にボランティアの申請もしましたが、はずれ続けたので調査だけになりました。
輪島と珠洲の状況を中心に紹介します。
2024年1月1日の能登半島地震から4か月もたっているのに、写真のように輪島や珠洲では今でもいたるところで家屋がつぶれたままの状況です。
岸田自公政権は一体、何をしてきたのでしょうか。
地元の人のからも「何もしていない」との話を聞きます。
自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党は緊急時でも「立法機能の維持」が大切だとして「国会議員の任期延長改憲」が必要だと主張しています。
しかし、能登半島地震の復興の状況を見て、国会が立法機能を果たしてきたと言えるでしょうか?
「国会議員の任期延長改憲」は、緊急事態を口実にして選挙もせずに国会議員の地位に留まることを可能にします。
自民党議員は統一協会との濃厚接触関係や裏金問題が発覚しても、さまざまな理由をつけて国会議員の地位にしがみついてきました。
憲法改正国民投票には850億円もの私たちの税金がかかりますが、これだけの税金をかけ、国会議員が選挙もせずに地位に居座る改憲を認めたいと思いますか?
緊急時に自治体に国が指示を出せるように、自民党や公明党は地方自治法を改正しようとしています。
2018年6月18日大阪北部地震の際、安倍首相(当時)は赤坂の高級料理店で会食していましたし、菅義偉官房長官(当時)は枚方(ひらかた)市を「まいかたし」と読むなど、政府は地名すら把握していませんでした。
こんな状況で国が自治体に適切な指示を出せるでしょうか?
石川県のいたるところに自民党と日本維新の会のポスターが張られていましたが、パフォーマンスに目を奪われてはなりません。
関西万博に建築関係者を割かず、能登半島地震の復興のために建築関係者を集中的に派遣すれば、復興はかなり早くなるでしょう。
関西万博を中止しない日本維新の会、国民のことを考えていないのを態度で証明しています。
能登半島地震の復興にほとんど何もしない自民党・公明党政府、能登半島地震の復活の支障となる可能性が指摘される関西万博の実施に固執する日本維新の会、被災地市民のことを真剣に考えないのに改憲には熱心な国民民主党などに対し、選挙などで主権者の意志を示すことは被災地復興のためにも重要です。
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