【壊憲・改憲ウォッチ(33)】関東大震災の際の朝鮮人・中国人等の虐殺について
飯島滋明(名古屋学院大学、憲法学・平和学)
今朝、朝ドラ『らんまん』では、関東大震災での悲惨な状況が報じられていました。
今回は「関東大震災」について発言します。
2023年8月30日、松野官房長官は記者会見で、関東大震災当時の朝鮮人虐殺について「政府内において事実関係を把握することのできる記録は見当たらない」と発言しました。
私が子どもの頃、私の祖父など、関東大震災を実際に体験した人たちがいて、そうした人たちから関東大震災の話を聞いていました。
祖父たちなどの話から、政治家等が「朝鮮人・中国人の虐殺はなかった」等の発言をしても、「それは違う」と感じる雰囲気がありました。
私は葛飾区で育ちましたが、葛飾区の四つ木橋で陸軍が朝鮮人たちを機関銃で虐殺したことなどは学校で習うというより、年配の人たちの話でなんとなく知っていました。
「機関銃の音」は隠せないので、何が行われたのかはそれとなく広がっていたようです。
関東大震災の際に陸軍が朝鮮人などを旧四つ木橋付近で虐殺した事実については、飯島滋明「国家緊急権(3)(完)」『早稲田大学大学院法研論集』2002年でも紹介しています。
1985年5月8日、ドイツ敗戦から40年目の日、ドイツのヴァイツゼッカ―大統領は連邦議会で「過去に対して目を閉じる者は結局、現在に対しても目を閉ざすことになる」(”Wer vor der Vergangenheit die Augen verschliesst,der wird am Ende blind für die Gegenwart”)と発言しました。
この演説は世界的にも称賛を受けました。
過去の事実を正確に認識し、それを教訓としないと、同じ過ちを再び繰り返す危険性があります。
当時の人たちから直接、話を聞くことが困難な状況になり、虐殺の事実も風化されようとしている中、実際にその時代を生きた人たちから直接、話を聞いた世代がその話を伝え、風化させないとりくみが重要です。
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