• リスト

【コラム】あなたの1票が政治を変えます!

2024年10月12日

戦争をさせない1000人委員会事務局長代行の清水雅彦さん(日本体育大学教授)より、選挙が迫る情勢を踏まえたコラムを寄せていただきました。

あなたの1票が政治を変えます!

清水雅彦(日本体育大学教授・憲法学)

物価が上がり続けているのに(今年8月まで36か月連続)、実質賃金が上がりません(今年5月まで26か月連続マイナス)。非正規雇用労働者が約4割に達し、子育てにお金がかかることから、結婚や子どもを持つことを断念する若者がいます。人によっては医療費も大きな負担となります。この状況を変えるためには何が必要でしょうか? やはり、働いている人であれば使用者と交渉すること、有権者が選挙に行くことではないでしょうか。

「選挙に行っても何も変わらない」。本当ですか? 日本の法定労働時間は週40時間ですが、フランスは35時間。日本の割増賃金は25%又は35%以上割増ですが、欧米では50%以上が一般的。日本の年次有給休暇の付与日数は最大で年間20日(実際の取得率は約6割)ですが、ヨーロッパだと約30日(実際の取得率は約10割)。その結果、年間の総労働時間の平均は、日本が1611時間(サービス残業や風呂敷残業をしている人がいるので、実際はもっと長いようです)に対して、フランスが1500時間、ドイツが1343時間です(2023年OECDデータ)。日本の国立大学の学費は年間53万円以上ですが、ヨーロッパの多くの国では国立大学の学費は無償か非常に低額です。日本の医療費は健康保険で一般的に本人負担3割ですが、ヨーロッパでは基本的に税金で無償化している国が多いです。

以上の労働や教育、医療の問題は、国会・議会が制定する法律で定めたり、政府が決めるものです。この国会・議会や政府を選んでいるのは、主権者国民です。特にヨーロッパで労働条件や教育環境、医療がいいのは、国民がそのような政策を実現する人々を選んでいるからではないでしょうか。日本でも、選挙でいくらでも政治は変わるのです。

2016年度から2022年度まで防衛費(当初予算)は5兆円台でした。それが、この間の自公政権によって、2023年度が6.8兆円、2024年度が7.9兆円、2025年度が8.5兆円と、急速に膨れ上がっています。2027年度は約11兆円ほどになるようです。しかし、全国の小中学校の給食を無償化するには1年間で約0.5兆円、国公私立の大学授業料を無償化するには約1.8兆円、健康保険の本人負担をゼロにするには約5.2兆円の費用で実現できるのです。防衛費より、こういったものにお金をかけた方がいいと思いませんか? そのためには、こられの実現を目指す政党を選挙で多数派にすればいいだけなのです。

選挙の結果で政治はいくらでも変わります。選挙に行きましょう!