【声明】日米ガイドライン再改定に抗議する
戦争をさせない1000人委員会は4月27日に合意された日米ガイドライン再改定について、以下の声明を発表しています。
日米ガイドライン再改定に抗議する
2015年5月1日
戦争をさせない1000人委員会
2015年4月27日にニューヨークで行われた「外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)」で、日米の軍事的な役割分担や任務などを定めた「日米防衛協力のための指針」(以下「ガイドライン」)の再改定が合意された。
「ガイドライン」では、「日米同盟のグローバルな性質」を「強調する」とされ、世界中での日米の軍事協力が約束された。「ガイドライン」で約束された協力事項である「後方支援」「船舶検査」「機雷掃海」「駆け付け警護」「米艦護衛」などは国際社会の常識では「武力行使」と見なされることを考えると、日本は「ガイドライン」で世界中での自衛隊の武力行使をアメリカと約束したことになる。
日米の軍事協力に際し、「あらゆる状況に切れ目のない( seamless )形で実効的に対処するため」の機関として、「ガイドライン」では「同盟調整メカニズム( Alliance Coordination Mechanism )」の設置も決められた。その上、「日米両政府は、支援を行うため、中央政府及び地方公共団体の機関が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に活用する」とのように、自治体や民間人を戦争に協力させることも安倍政権はアメリカと約束した。このように、世界中での日米共同武力行使を可能にし、国や自治体、国民などを全面的に協力させるのが「ガイドライン」再改定の内容である。
武力の行使が平和を作り出せないことは、第1次世界大戦、第2次世界大戦で甚大な犠牲者を出した末に人類が得た貴重な教訓であった。最近でもアフガン戦争やイラク戦争では、多くの子ども、女性、老人がアメリカ軍の武力行使で犠牲となった。こうした悲惨な状況を生み出さないため、国連憲章では「武力不行使」(2条4項)が原則とされ、日本国憲法でも徹底した「平和主義」が採用されている。ところが安倍政権は、こうした悲惨な歴史及び教訓の意義を省みることなく「ガイドライン」改定に合意した。
今までは平和憲法のもとで海外での武力行使に自衛隊が関わることはほとんどなかったが、「ガイドライン」で挙げられた事項を実施するようになれば、自衛隊が海外での戦闘に関与する可能性が高くなる。また、自衛隊員自身も海外の戦闘で生命を失う可能性が高くなる。「国民の生命と安全を守るため」などと言って安倍政権はこうした軍事中心政治をすすめるが、豊かな自然に囲まれた辺野古への米軍の新基地建設に反対する市民に対して海上保安官が行なっている、「法治国家」ではありえない野蛮な暴力行為の原因が安倍政権であることを考えれば、「国民の生命と安全を守る」という安倍政権の主張がいかに欺瞞に満ちたものであるかは明らかだ。
そして、そもそも「国の最高法規」である憲法の平和主義を放棄し、海外での武力行使が可能になる国に日本を変えるのであれば、主権者である国民、そして主権者である国民から選挙で選ばれた議員で構成される国会で十分な議論をすべきだろう。ところが安倍政権は国会での十分な議論もなしに「ガイドライン」で合意し、アメリカと世界中での共同武力行使を約束した。「国民主権」「民主主義」を無視する行為と言わざるを得ない。
私たち「戦争をさせない1000人委員会」は、「国民主権」「民主主義」を無視し、世界中での武力行使、虐殺に加担する可能性に道を開く「ガイドライン」に強く反対する。
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